“
- 俳優田中実の死を嘆くグルメレポーターの浅はかさ: 城島明彦(作家)の『ちょっとあぶない雑記帳』
自ら死を選んだ人間は、決行する前にさんざん悩み、考える。
残された妻や子どものこと、両親のこと、友人のことなど、すべて考える。
できることなら生きていたいと願う。
だが、そうすることができないという結論に思い至り、死んで行くのだ。
死ぬ前に、誰にもまったく相談しないというケースはまずない。
それとなく相談しているが、相手が気づかないだけだ。
気づかない言葉で話をしながら、相手の反応を探り、
「この人に話してもムダだ」
という結論になるから、打ち明けないだけの話だ。
したがって、
「なぜ自分に相談してくれなかったのか」
という言葉を口にするような人間は、きわめて鈍感だといえる。
そういう感覚の人間だから、死ぬ前に相談できなかったのだ。
”- 俳優田中実の死を嘆くグルメレポーターの浅はかさ: 城島明彦(作家)の『ちょっとあぶない雑記帳』